東伯牛は、エフコープ、コープさが生協、生協くまもと、コープおきなわで親しまれている産直牛です。
2020年12月12日、エフコープでは東伯牛の生産にたずさわるみなさんと生協組合員の交流会をオンラインで行いました。
当日の資料を活用して、東伯牛や生産者のみなさんをご紹介します。
1986年エフコープと鳥取県の東伯町農協との間で「協同組合間提携と産直活動に関する協定」が結ばれ、産直としてのお付き合いがはじまりました。
それから今日まで、牛肉・オレンジの輸入自由化、BSE(牛海綿状脳症)や口蹄疫の不安など、何度もの大波に見舞われましたが、生協の組合員とのつながりを支えに乗り越えてきました。
2007年には農協合併により、東伯牛の飼育管理は株式会社西日本ジェイエイ畜産に引き継がれました。
今では生協くまもと、コープさが生協、コープおきなわも加わって、産直としてのおつきあいが続いています。
写真のとおり、東伯牛はホルスタインです。
北海道の育成牧場で7カ月齢まで育った仔牛が鳥取県にやってきて15か月間肥育されます。
日本人が肉を食べ、牛乳を飲み始めたのは、明治に入ってからです。食肉や牛乳が普及したひとつの要因に一般的に手に入りやすくなったことがあげられます。
ホルスタインは生乳生産に適すように改良されてきた品種です。乳は妊娠した雌牛しか出すことができませんので、ホルスタインのオス牛を肉用に育てあげる技術を高めることで、
国産牛肉と生乳の生産のサイクルが回るようになりました。
東伯牛は、独自のえさを与え、肥育期間を長くとることで、おいしいお肉に育て上げています。
東伯牛として育てる仔牛(素牛)は月に90頭ずつ導入しています。一定品質の東伯牛に育てるにはスタート時点の状態が揃っていることが望ましいため、コンスタントに質のよい素牛を出荷できる育成牧場を探すと規模が大きい北海道となりました。
屈足肉牛牧場は10,000頭を飼育している牧場です。大規模ですが、ロボット等の技術を取り入れて一頭一頭がしっかりミルクを飲めているかなどの観察を欠かさず育成しています。
北海道で7カ月育った素牛は、専属のドライバーが丁寧に運転するトラックで、牧草を食べ、水を飲みながら、鳥取まで2泊3日の旅をしてきます。
鳥取県の牧場で行うのは肥育。肥育とは肉牛として育てていくことです。15か月の肥育期間を3段階に分け、その時期に適した餌を与えておいしい東伯牛に育てます。
牛はデリケートな動物でです。毎日同じ時間に餌が食べられる、水をたっぷり飲むことができる、寝床が清潔であることを保って、ストレスを与えないように気を配ることは酪農家の大切な仕事です。
引っ張られると痛い鼻輪ではなく、頭絡(とうらく)方式をとっています。
■組合員さんからの質問に、西日本ジェイエイ畜産の養牛事業部長 船本秀和さんと生産者の馬野英子さんが答えてくれました。
Q:寒い冬の温度管理はどうしていますか?
A:ホルスタインはドイツ北部が原産の種で、寒さには強い。大きな胃袋で常に発酵が起こっているので、おなかの中にストーブを抱えて革ジャンを着ているようなもの。
暑さには弱いため、日を遮ったり、風通しををよくしたり、ファンを回したりして、牛の体感温度を下げる工夫をしています。
Q:後継者はいますか?
A:契約農家さんみなさんまだまだお元気ですが後継者はいないため、直営農場で担っていきます。
Q:牛に予防接種はしていますか?
A:北海道の牧場にいる時に予防接種ワクチンを実施しています。
Q:牛の体調が悪くなった時はどんな対応をするのですか?
A:体調悪化を未然にふせぐため、日頃から餌の食べっぷりや鳴き声に変わりないか、鼻が乾いてないか、耳が垂れていないか、目に活力はあるかなどを注意深く観察して、
対処しています。体調が悪い時は獣医さんに診てもらいます。餌の調整や環境整備で回復すればそのまま東伯牛として肥育、薬で治療した場合は一般の国産牛としての扱いになります。
Q:プライベートはどう過ごしていますか?
A:牛飼いとして長く働き続けるために切り替えを大事にしています。手芸やスポーツなど地域のサークル活動に、作業の時間になったら切り上げて帰るなど、メリハリをつけて参加しています。
身体を動かすこと(ソフトバレー)、人と接すること、声を出すこと(コーラス)は、ストレス解消にもなる大切な時間です。