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熊本県産豚>これからの農業を考える養豚を。

遥かむこうに阿蘇山の姿。のどかな農地が広がる熊本県北部にある有限会社 コーシン。
独自のマニュアルによる養豚と農業の未来まで視野に入れた試みに、親子2代で取り組んでいます。

[生産者インタビュー]

熊本県 菊池郡菊陽町

有限会社 コーシン 代表取締役・熊野義幸さん、博崇さん

ポイントは、子豚をいかに丈夫に育てるか。

すやすやと眠っているのは、生まれたばかりの子豚たち。ぬくぬくと気持ちよさそうにしていますね。実はこれ、赤外線に暖められたスペースなのです。床にはホットカーペットも敷いてあり、人間の赤ちゃん以上に、気持ちよさそうな環境です。

「ウチでは、子豚をどれだけ丈夫に育てるかにこだわっています。特にポイントになるのは、生まれてから離乳するまでの23〜24日間なんですよ。その期間に肉豚としての土台ができるので、後々の肉の質にも大きく影響するんです」。

そう教えてくれたのは、有限会社 コーシンの熊野博崇さん。経営者である父・熊野義幸さんの右腕として、2005年(平成17年)から農場に勤務。現在は、現場の最前線で責任者として奔走しています。

「子豚の健康は、元気な母親あってのことです」と博崇さんは続けます。豚舎の温度は快適に保たれているのか?餌の量は適正か?体調を崩していないか?どの子豚もまんべんなく母乳を飲んでいるか?と、気をつけなければならないことは、それこそ山のようなボリュームです。「ウチには400頭の母豚がいて、1週間に約200頭の子豚が生まれます」とのことなので、どれだけの配慮が必要か。豚はいきものですから、それが365日続きます。

子豚が眠る赤外線スペースもこだわりのひとつです。暑さが苦手な母豚は涼しい環境を求める一方で、子豚たちは寒がり。そこで、母豚が子育てをする場所の一部を、暖かくしておこうというわけです。母子豚それぞれの適温が保たれて、どちらも心地よさそうですね。

また、博崇さんは、子育て期間の母豚の餌の品質にもこだわっています。「質のよい母乳をたっぷり出してもらうために、ビタミンを強化して、カロリーを多めに与えます。いい乳には、いい餌を。これに限りますね」。

仕事への高い意識と、豚への愛情。その両方が大切。

有限会社 コーシンの豚肉は、豚特有の臭みがなく、味わいには深みがあると組合員さんにも好評です。脂もさっぱりと食べられます。その肉質は、これまでの努力のたまもの。時間をかけて餌をとことん改善することで、おいしさが増していったそうです。

博崇さんによると「豚の成長に応じて、バランスよく栄養を含んだ完全オリジナルの餌を与えています。『コーシンミックス』と名付けました。さらに生後60日以降より、麦を10%加えます。麦を与えることで脂肪にクセがなく食べやすくなり、肉が引き締まって風味が長持ちするんですよ」。

また、180日間の肥育期間の中、休薬期間を110日間に設定しています。法律で定められている休薬期間(抗生物質を投与してはいけない期間)は種類によって違いますが、有限会社 コーシンでは規定よりもさらに長い休薬期間をとっています。より安心して食べられる肉豚を出荷するための挑戦が続きます。

「整った環境とよい餌があれば、豚は健康に育ち、おいしい肉になる。休薬期間も長くなる。そのような発想で、母豚の分娩から、子豚の離乳、肥育、そして出荷まで、一切、気を抜くことなく取り組んでいます」。おいしい肉を生産するための高い意識と、いきものである豚への愛情。両者のバランスを大事にしたいと、博崇さんは話してくれました。

養豚・畑・食をつなぐのは、安心安全なサイクル。

熊野さん親子が、今、大きな力を注いでいることがあります。循環型の農業への取り組みです。

株式会社コーシンでは、豚の排泄物をたい肥化施設に運び、有機たい肥にして販売しています。それと同時に、同じグループである有限会社 阿蘇グリーン農園の畑に、たい肥をたっぷりとすき込みます。栄養満点の土で育った無農薬有機栽培の野菜の販売も行っています。「みずみずしく、味の濃い野菜は地元でも評判なんですよ」。畑の規模もだんだん広がっているそうです。

父の義幸さんは、地元の循環型農業の先駆者として、地域を束ねるリーダー的な存在です。これからの農業についてたずねると「まず、農業の将来像を思い描き、そこから今、何をすべきか?を、見極めることが大切ですね」と答えてくれました。

休薬期間が長い豚の排泄物には、当然、薬の残留が少ないでしょう。また自然由来の餌を食べさせると、排泄物は良質なたい肥になります。そのたい肥が健康な野菜を育てて、人の健康を支える。人は安全安心な豚肉や野菜を求めることで、未来の農業を支える。「これが循環型の農業です。これからの農業は個々の仕事だけでなく、もっと広い視野でつながっていくべきでしょう」。

養豚が野菜づくりへとつながり、双方にいい影響をもたらし、さらには環境を守る道筋をつくっていく。養豚を起点とした未来の農業への取り組みが今、ここからはじまっています。

※このページの情報は2013年取材当時のものです。
  作成時から情報が変わっている場合があります。

 
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皆様から寄せられたコメント

  1. コーシンさんの豚肉いつもおいしくいただいています。なかなか見ることのできないという豚舎をwebで見ることができ、衛生的に管理されていることがよくわかりました。熊野さん親子で頑張っておられる姿や循環型農業にも意欲をもっておられることがよくわかりますます応援したくなりました。

    1. 藤浦さまコメントどうもありがとうございます。
      特に畜産関係では病気のことなどもあり、すべてを組合員のみなさまに見ていただける状況ではないのですが、カタログではお伝えしきれない生産者のみなさんのこだわりや奮闘ぶりをWebでお伝えできればと思っています。

  2. 私も小学校の時豚さんを見に行きました。!生まれたばかりの子豚が見に行きたいです。!お母さん豚が分娩室を見学したいです。!