コープ九州機関運営・広報部 石井梨香
コープ九州では、酪農の持続的発展をめざして、九州の酪農家や農協、乳業メーカーなどと協力して「集約放牧酪農」の共同研究を行っています。その理由や活動内容をお伝えします。
ふたつ目の講演は、ファームエイジ㈱代表取締役 小谷栄二様による「持続可能な酪農とその展開に向けた課題」でした。
<講演より>
日本の酪農は、機械、設備、飼料代、人件費が相当かかる構造になっている。集約放牧酪農では、牧草の成長、収量、栄養価を精密に管理する。牛がストレスなく草を食べ搾乳量が安定するよう草地、牛舎、水飲み場を含む全体をデザインする。
ニュージーランド北海道酪農協力プロジェクトは2015年の現状把握から始まり、2018年には取り組みの検証を行った。プロジェクトに参加した40頭を飼育する小規模牧場では、濃厚飼料の使用量は減少し、乳量は増加。利益が改善し、労働時間も減った。
世界の穀物生産量の1.3%を日本が輸入しており、その多くが家畜の飼料に使われている。一方で飢餓人口は10億と言われる。地球環境に負荷をかけずに経営が成り立つ技術が必要である。CGS(コントロールド グレーディングシステム)は、人間が食べられない牧草を活用し牛乳に変えていく持続可能な酪農である。
<参加者感想より>
・放牧によってどのようなメリットがあるのか、何を大事にすべきなのかを実際のプロジェクトの話を聞くことができ、とても興味深かったです。精密な測定やデータ分析の活用で、より良い放牧の在り方を見出すことができるのだと分かり、改めて数値化(データ分析)の重要性を感じました。
・酪農家さんが苦労されているお話を聞いていたので、新しい酪農技術が日本に定着すれば、生産者にとっても、消費者にも”とても希望の持てる”状況になりますね。期待しています。