2020年7月21日(火)コープ九州事業連合主催(共催:ニュージーランド・北海道酪農協力プロジェクト)の「グラスファーミングディスカッション」を開催しました。「九州の酪農・乳業の持続可能な発展」について考え、グラスファーミングの方向性を検討し、今後の具体的な取り組みにつなげていきます。グラスファーミングとは、電気柵で牧区を区切り、餌となる草の成長に合わせて管理する、牛にも人にも環境にも優しい酪農の方法です。今回は初のリモート形式を採用し、ニュージーランド、北海道、東京、九州の複数の県を結び、酪農・乳業関係者、研究者、行政、生協組合員・役職員など、63名の参加がありました。その様子をご紹介します。
冒頭、弊会理事長江藤より開会の挨拶と、生協がなぜ酪農の課題に取り組むのかをテーマにこれまでの取り組みと振り返りの報告を行いました。
駐日ニュージーランド大使館第一次産業参事官のキャロリン・ガイ様より、ニュージーランドの酪農の歴史の紹介をいただきました。キャロリンさんは、この日のために日本語でのプレゼンテーションを練習され、約20分の動画を準備するなど、準備万端で臨んでくださいました。
【プレゼンテーションⅡ】
NZ・北海道酪農協力プロジェクト主任コンサルタントでもあるキース農学博士には、この間のプロジェクトの成果とこれからの期待についてまとめていただきました。
ファームエイジ㈱ 高田健次様
事前にキース博士と打ち合わせを行い、資料を翻訳してプレゼン代行をしてくださいました。
【ディスカッション】
テーマは「持続可能な酪農『グラスファーミング』の拡がりと今後の取り組みについて考える」。5名のみなさまにお話しいただきました。
諏訪 茂 様<フォンテラジャパン㈱経営戦略室コンサルタント>
コロナ禍における国際市場と日本市場の状況分析をご報告いただき、「グラスフェッドミルク(牧草で育った牛から搾ったミルク)」の価値・拡がりについてご紹介いただきました。
小谷 栄二 様<ファームエイジ㈱代表取締役>
人間が食べられない草を最大限に生かす集約放牧酪農(グラスファーミング)が基本となっているNZの生乳生産コストをご紹介いただき、国の補助金に頼らない酪農の実現には、生産者と消費者の協力が重要とのお話しをいただきました。
石垣 元気 様<農学博士 宮崎大学農学部住吉フィールド講師>
前回セミナー以降、住吉フィールド(農場)に恒久柵を設置して、集約放牧酪農技術の実践と教育を重ねている状況を、写真等を使って紹介し、解説をしてくださいました。
志賀 拓馬 様<㈲はみんぐ・まむ(酪農家) 大分県久住町>
エフコープ・コープさが生協・ララコープ・コープおおいたの組合員さんにご利用いただいている「コープ牛乳(産地指定)」の産地です。現在、草地を増やして育成牛の放牧を行っています。それによって飼料代や育成委託費用、労働時間等が抑えられていることや、久住の草地を守っていきたいという思いを語ってくださいました。
上野 清美 様<エフコープ組合員理事/コープ九州理事>
昨年8月に熊本県人吉市で周年放牧を行う島津牧場を訪問して感じた「食べものは自然の恩恵と手間暇や工夫でできていること」や、今後の商品化への期待をお話しいただきました。
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新型コロナウイルスの感染拡大を受けて急遽計画したオンラインでのディスカッション。限られた時間の中で意見交換までできなかったことなど課題はありましたが、様々な地域から多くの方に参加していただける可能性を感じる場となりました。コープ九州では、これからも情報交流を大切にしながら、グラスファーミングへの理解を広げ、前進させる取り組みを進めます。
【参加者からの感想】