コープ九州機関運営・広報部 石井梨香
コープ九州では、酪農の持続的発展をめざして、九州の酪農家や農協、乳業メーカーなどと協力して「集約放牧酪農」の共同研究を行っています。その理由や活動内容をお伝えします。
ひとつ目の講演は、一般社団法人Jミルク専務理事 前田浩史様より「酪農セクターにおけるSDGsへの世界の取り組みと日本の課題」と題してお話しいただきました。
生乳生産は北海道では増えているが、各都府県単位では2%程度の減少が続いている。直近では減少に歯止めがかかりつつあるが、環境問題(糞尿処理)、労働力不足の問題から構造的に厳しい環境が続いている。都府県では増加に転換させるのは厳しい。
国際的には新興国の需要増が見込まれるが、それに対し乳量の確保が国際的にできない可能性がある。
一大消費地の需要増に対応するため北海道、九州の生乳需要が高まり生乳の取り合いになる可能性がある。
世界規模で持続可能な酪農乳業を目指すには、それぞれの地域でビジネスが成り立ち、安定供給ができるモデルづくりが必要だ。アジアでは家族経営、小規模酪農、放牧酪農のニーズが着目点である。人間が食べないような草を食べさせる酪農は、貧困の課題の一つの解決策となる。
・SDGsと酪農、他者が思いやることが出来れば、人間が食べる穀物を牛や豚等の家畜の飼料として利用していくのも、改めていくべきだと強く感じました。
・酪農を取り巻く外部環境、リスク、考えるべきことがよく分かりました。「バリューチェーン全体で考える」という言葉がとても共感できました。