宮崎大学にて開催 ~ 第4回九州グラスファーミングセミナー

 


2019年11月28日・29日、2018年の7月から数えて4回目となる九州グラスファーミングセミナーを開催しました。
グラスファーミングセミナーでは、九州の酪農の持続的発展をめざし、集約放牧酪農についての学びや交流を重ねてきましたが、今回は宮崎大学農学部をはじめとした研究者のみなさまにご参加いただき、これまで以上の可能性が広がりました。


参加者は、酪農家、乳業メーカー、酪農関係機関、大学関係者、行政、農協・生協職員など約50名。
1日目にグラスファーミングの基本や九州での草地管理における課題とその研究について学び、2日目は宮崎大学住吉フィールドの牧草地で交流を行いました。


今回はセミナーの様子をフォトアルバム風にご報告します。


 ── グラスファーミングとは

牧草の成長に合わせて、電気柵等で牛の移動範囲をコントロールし、効率的に牧草を食べさせるしくみを言います。栄養価の高い時期の牧草を活用することで、濃厚(穀物)飼料や労働時間の削減が期待でき、持続可能な酪農を目指した技術システムです。
コープ九州は、九州の生協組合員に九州内で生産された牛乳を届け続けたい思いから、集約放牧酪農の展望を切り拓くべく活動しています。

 

■第4回九州グラスファーミングセミナー

<一日目>

4会GFS江藤理事長(正面)IMG_5599
多くの生協のスタートは牛乳の共同購入だった。酪農家の減少、生乳量の減少は深刻である。
持続可能な生産と消費や誰もが安心して暮らし続けられる地域社会づくりは、生協の重要な使命だ。
異なった分野の専門家が集まる多様性の場から、イノベーションや創造コトが生まれると考えている。(コープ九州事業連合 理事長江藤淳一)

 


4回目小谷
日本は世界で一番、家畜に穀物を与えている国。輸出国の水源は減り続けている。
穀物生産地の地下水の減少は待ったなし。持続可能な酪農への転換のためには、「放牧草の質・栄養価」「効率的なファームデザイン」「放牧に適した牛づくり」の進化した放牧酪農技術(集約放牧酪農:グラスファーミング)の導入が必要である。(ファームエイジ株式会社 代表取締役 小谷栄二さん)

 

 

第4回GFS倉持先生講演
これまで土壌分析は物理的・化学的な面から語られてきたが、生物学的な要素が必要である。
土壌動物や菌類の活動は、生態系を動かすためになくてはならない。放牧酪農をうまくまわすには生産者(草)・消費者(牛)・消費者(土壌生物)の循環が重要である。(前帯広畜産大学教授 倉持勝久さん)

 

 

4回目石井
日本は濃厚飼料の輸入国であり、飼料の生産に使われたバーチャル水や窒素を輸入しているともいえる。宮崎大学では乳用牛、肉用牛とも年間を通じて放牧を取り入れる研究と実践を行っている。(宮崎大学農学部教授 石井康之さん)

 

 

4回目石垣
住吉フィールドは約90年の歴史がある。34haが放牧地と牧草地である。放牧の課題としては、高温多湿への対応、牧草栄養価の季節による変化コントロール、採食量の推定方法、夏場の雑草侵入などがある。みなさんから学んでよりよい放牧を行いたい。(宮崎大学講師 石垣元気さん)

 

 

4回目島津増田
放牧していることに満足せず、品質一番をめざしている。これからもっと放牧の割合を高めたい。一昨年から寒地型永年牧草の導入を検討してきた。(農事組合法人島津牧場代表 島津野歩さん 写真左)

島津牧場にて、現地に適した牧草の種類や牧草を播く時期、活用する期間などの実験を行っている。(熊本県酪農業協同組合連合会営農推進課 増田靖さん 写真右)

 

 

4回塩谷
SDGsでは経済・社会・環境の調和が重要なテーマになる。放牧はSDGsに即した農業である。放牧による自給飼料利用への転換によって生産コストを削減でき、酪農家の所得を増やすこともできる。(一般社団法人日本草地畜産種子協会草地畜産部上席主幹 塩谷 繁さん)

 


<二日目>

講師のみなさんのお話を聞きながら、宮崎大学農学部住吉フィールド(牧場)を見学。
集約的な放牧は行っていないが、牛も土も草もよい状態とのこと。

4回めGFS宮大牛
放牧地にたくさんの人が入ってきても全く動じない牛たち

第4回宮大実験牧草
南方系のネピアグラスを使った肉用牛の放牧実験地を見学

 

第4回GFSグループ発表

午後からは、グループに分かれて住吉フィールドの良い点と改善点を協議しました。

「日陰があるので牛にとって良い環境」「研究者や学生という人財がポテンシャル」「牧道を歩きやすくすると牛の負担が減るのではないか」「牧草地をもう少し狭く区切って放牧をすると草がよい状態に保てるのではないか」「宮崎大学が九州の集約放牧の学術的拠点になってほしい」などの意見が出されました。


2日間を通し、酪農家から消費者までがともに語り合うことで九州における集約放牧酪農が広がる可能性に満ちたセミナーとなりました。

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