コープ職員ルポ

ぴよっちサブレができるまで

広報課:石井梨香

 

「改善しました」の中に、たくさんの努力がこもっている

CO・OP商品の製造現場を訪れ、生産に携わるみなさんと交流する「ラブコープ商品工場産地交流会」。2017年2月には埼玉県にある株式会社東ハトにうかがいました。キャラメルコーンやオールレーズンなどロングセラーのお菓子で有名な東ハトさんですが、
CO・OP商品の「ぴよっちサブレ」や「応援食クッキー」も製造しているのです。

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「ぴよっちサブレ」は、CO・OPのクッキーの中で利用点数№1(2016年度4月~1月)。「カタログにのると必ずまとめ買いしています。サクッ、ホロッの食感がたまらないです」「キッチンで一息するときに食べると幸せ。歯触り口当たりがすごく良い」「お家で作った時のような優しい味」と組合員さんからも絶賛の声が寄せられている商品です。
今回は、全国の生協組合員・職員28名(九州からはララコープの山田朝美さんと生協コープかごしまの南部由理子さん)で、おいしさの理由を探ってきました。

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初日は商品学習会が行われました。会の冒頭、(株)東ハトの営業統括本部本部長、滝沢様から、生協とのとりくみでは「生協組合員の求めているものを」「組合員の声を反映して」「一緒につくっていく」ことを大切にしているとのご挨拶がありました。
2016年に利用していただいた「ぴよっちサブレ」をつなげるとスカイツリー1000本分(1袋21センチ)。生協の組合員のみなさんにここまで育てていただいたとお話しくださいました。

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滝沢様はぴよっちサブレが開発された当時のご担当

商品学習会では、(株)東ハトのみなさんや日本生協連の商品担当より説明を受け、参加者から活発な質問も出されました。それらのやりとりから、抜粋してご紹介します。

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ぴよっちサブレは、こだわりと技術と悩みの結晶

ぴよっちサブレは、「子どもに手作りしてあげるようなお菓子」をコンセプトに、できるだけ家庭にあるような材料を使い、香料や膨張材を使わずに開発をした商品です。お菓子の業界では、品質安定のため食品添加物を使うことが常識。添加しているもの自体悪いものではありませんが、それを使わないで作ることは革命的なことだったそうです。
 また、「サクッ」「ほろっ」の食感と時間がたっても変わらないおいしさは、東ハトだからこその技術で実現できていることです。
 子どもさんに人気の「ひよこ型」と「ぴよっち」という名前ですが、そこにたどりつくまでにも紆余曲折がありました。ただの丸形ではない形にしよう、東ハトだから「ハト型」はどうだろう?と試作をしたそうですがうまくできず、同じ鳥の中でひよこの形に落ち着きました。しかし、商品名を決めようとすると、ひよこ型のお菓子は全国にたくさんあり、ひよこ関連の名前はことごとくと言ってよいほど商標登録をされていたそうです。あれもだめ、これもだめと考えを巡らせているうちに、ふと「ぴよっち」という名前を思いつき、調べたら未登録!その場で急いで日本生協連の担当者に電話で確認をとり、登録手続きを進めたのだそうです。

リニューアルは組合員の声から

ぴよっちサブレは2016年春に、応援食クッキーは2015年秋にリニューアルを行いました。リニューアルポイントはすべて生協組合員の声にもとづいたものです。

◎ぴよっちサブレのリニューアル 組合員の声と改善の歩み
1.ひよこに目がついた 
←組合員から「目があったらもっとかわいいのに」と、ご要望が多く寄せられていました。小さな目をつけるのは簡単そうですが…
サクほろの食感であるということはくずれやすいということでもあり、目をつけただけでも微妙にバランスが変わって食感や割れやすさに影響がでます。影響を与えず、かわいいかどうかも考えて試作を繰り返し、目の位置やサイズを決めました。そして工場の金型やライン設備まで入れ替え!

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2.小麦粉を国産100%にした
←小麦粉の産地の問い合わせが多く寄せられていました。問い合わせが多いということは、国産を希望する組合員がいることと受け止め、国産小麦を使うことに。小麦粉は種類によってグルテンの出方が違うため、リニューアル前からパン用とクッキー用の2種類の小麦粉をブレンドしてサクほろの食感を出していました。国産100%にしてからも食感が変わらないよう2種類の小麦を組み合わせて使っています。近年国産小麦の種類が増えてきたことも、切り替えができた理由のひとつです。

3.ココア味を追加
←コープあいちの組合員に協力をもらって新たな味に関するアンケートを実施。人気順位はチョコ、ココア、続いてイチゴ味でした。香料を使わないことがポリシーのぴよっちサブレ、香料無しでできるフレーバーとしてココアに決定しました。
とはいえ、香料を使わないで求める味をつくるのはとても難しかったそうです。試行錯誤の末、ココアパウダーと全粉乳を使うことにしたのですが、この二つの割合をどうするかで試作を繰り返して、開発にこぎ着けました。

4.小分け包装袋にアレルギー物質を表示
←学童保育やお友達の家で分けあったり、プレゼントしたりすることも多いお菓子なので、外袋から出ていても確認ができるように表示を変更しました。

 

◎応援食クッキーのリニューアル 組合員の声と改善の歩み
応援食クッキーは、女性に必要な栄養素(鉄分・ビタミン・食物繊維)を加えた商品として開発されました。栄養成分を入れるとどうしてもおいしさは鈍るそうですが、おいしさにはこだわりたいと思って改善を続けています。
2015年秋のリニューアルポイントは4つです。

1.しっかりめのさっくり食感に
 ←「ボロボロ崩れやすい」「口の中の水分がとられる」などの声に応えて生地を見直し。
2.栄養素がわかりやすいパッケージに
 ←栄養素の種類や量をわかりやすく表示しました。何本かまとめて食べる実態もあるため、過剰摂取の弊害を考えて、鉄分やカルシウムをお子さんが3本食べても摂取基準上限を超えない量に設定しました。

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3.国産小麦100%に
4.小分け包装にも栄養素とアレルギーを表示
 ←ぴよっちサブレと同じ理由でリニューアル。応援食クッキーは塾や部活に持たせることが多い商品です。

 リニューアルの結果、喜びの声がたくさん寄せられています。今回の学習会では「アソートタイプやいろんな味が入っているミックスタイプができないでしょうか?」「その時期だけの季節限定味があるとうれしい」「高齢者に好まれる和風のフレーバーを工夫してみたら?」などさらなる要望も出されました。

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質問するララコープの山田理事

 

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開発秘話を交えて商品の説明をしてくださった(株)東ハトの中村さん。「みなさんからのアイデアやご意見はありがたい。これからもどしどしお聞かせください。」とのコメントをいただきました。

 

学習会後の夕食交流会では、各生協での商品を知っていただく活動やそこで寄せられた組合員の声、参加者のぴよっちサブレや応援食クッキーへの思いが語られました。
また、東ハトのみなさんへ、生協の組合員から寄せられた声を贈呈。ぴよっちサブレ1800通、応援食クッキー1400通以上の声のカードが入った赤い袋は重そうでした。

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工場を見学して安心感が高まりました

二日目は工場見学です。貸切バスで雑木林と畑に囲まれた関東工場に向かいました。工場の正門からは富士山がくっきりと見えました。

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関東工場ではビスケットやスナック菓子、約240アイテムを24時間稼働で製造しており、600人を超える従業員さんが働いています。工場敷地内に寮もあるそうです。
衛生管理上、通常は工場見学を受け入れていないのですが、ぴよっちサブレをここまで育てていただいた生協のみなさんなので見ていただくこととした。とのことで、貴重な機会となりました。
まず、品質管理室長の片井木様より、工場見学の注意点と東ハトの品質管理について説明を受けました。品質管理室は社長直轄。「常にお客様目線で仕事をしている。内部からは嫌われていると思うが、役割として嫌われても憎まれてもお客様目線で言うことは言っている」という言葉を頼もしくお聞きしました。

工場では、髪を結ぶゴムは継ぎ目のないものを使う、ボタンや留め金などのない衣類の上に制服を着る、ボールペンやマジックもふた無しのものや芯を取り出せない一体化したものを使用するなどルールが決まっています。私たちも従業員さんに準じて身支度をしました。

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身支度後は、4グループに分かれてぴよっちサブレの製造工程を見学しました。

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製造工程は、家でクッキーを焼くのと同じような流れで進んでいきます。

計量ミキシング

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ぴよっちサブレの原料ミキサーはぴよっち専用です。計量した原料を投入する際、粉は10キロほどになるそう。原料計量に使う道具類はアレルゲンごとに分別されていました。

成型

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ひよこの形に型抜きされていきます。この時点でもう目はついています。

焼成

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50メートル近いオーブンで焼かれます(左右の白い箱のように見えるのがオーブン)。この中をぴよっちサブレが流れています。

冷却(自然冷却)→目視検査

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焼きあがったら自然冷却。ビスケットやクッキーは常温までゆっくり持っていくのが基本だそうです。

個包装

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整列したぴよっちサブレが個包装され、そのあと金属探知機を通ります。

外包装

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トレイに入れられ、黄色のパッケージで包装されます。そのあと金属と重量検査機を通ります。

箱詰め

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長く使われている工場ですが、清掃や整理が行き届いていました。製造にたずさわるみなさんから直接お話を聞き、商品に対する安心感がますます高まりました。

【参加理事さんのコメント】

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ララコープ 組合員理事 山田朝美さん

何度も試作を重ね、一つの商品をつくるのに約2年かかったというお話を聞いて、ぴよっちサブレが子どもからお年寄りまで愛され続けているのは、たゆまぬ努力があったからだと思いました。工場内を見せていただいたことも貴重な体験でした。これまでもララパーティー等でぴよっちサブレを紹介してきましたが、総代さんが集まる場などでも商品に触れる機会を作っていきたいと思います。

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工場での管理も徹底されており、安心できる商品だということを確認できました。
商品は生協を通して離島にまで届けられ、それぞれの組合員の声は生産者まで届けられる。消費者と生産者の交流は貴重なことだと思います。
メーカーさんと直接会って交流することで商品に対する思いが強くなります。生協コープかごしまでこのような活動を増やすとともに、今回学んだ商品を事業や活動の場につながるよう働きかけていきます。

 

 

商品の情報や工場見学の様子はこちらからもご覧ください。

 

日本生協連コープ商品サイト
http://goods.jccu.coop/voice/opinion/2017/03/1-7.html

しゃかいか!

https://www.shakaika.jp/blog/22561/tohato_saitama/

 

 

 

 

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皆様から寄せられたコメント

  1. あけましておめでとうございます。
    工場見学のレポートをした石井です。
    見学にうかがった際「その時期だけの季節限定味があるとうれしい」という要望が出ておりましたが、その声に応えて、
    期間限定「ぴよっちサブレ いちご」が登場しています!
    \(株)東ハトのみなさん、ありがとうございました/

    ◆九州では、2018年1月4週と2月2週のカタログに掲載される予定です。3月末までの限定企画ですので、お見逃しなく。
    (生協の大きめのお店でも品ぞろえしていますが、一部取り扱いのない店舗もあります)