コープ職員ルポ
2016年9月18日~9月23日、コープ九州の会員生協の役員のみなさんとのアメリカの大豆生産者ボブさんを訪ねた。2015年の第一陣に続き、今回は長崎のララコープ、コープさが生協、生協くまもと、コープおきなわの4生協が参加した。
ボブさんが代表をつとめるSB&B社で生産されている大豆は、育て方が把握でき品質がよい大豆生産のしくみを生協とともに築いてきた存在。その実態を会員生協代表の方に肌で感じていただき、生産者とのつながりも強化していくことを目的に訪問した。
日程:2016年9月18日~9月23日
訪問先:ウィスコンシン州、ノースダコタ州
参加者:ララコープ森下専務理事、コープさが福井専務理事、生協くまもと水口専務理事、コープおきなわ古堅常勤理事
成田からミネアポリスへの移動。アメリカ到着後(入国審査終了が現地14:30)、ボブさんの弟であるエリックさん運転のバスで新しい選別工場があるウィスコンシン州に移動。
まずは生産者、ウィスコンシンの圃場の管理などの責任者であるトロイさんとボブさんから説明を受けた。
2010年に設立されたSB&B2番目の選別工場で、1時間で10t~20t処理する能力を持っている。
ウィスコンシンに選別工場を持ったことで、契約農家の範囲も拡大。ノースダコタと土壌の栄養分は変わらないが、より水はけが良いことから雨量が多いときでもあまり影響を受けない。SB&Bとして2つの産地を抱えることは天候によるリスクを低減する効果がある。この6年で徐々に効果的な生産が出来るようになっている。
今年は例年に比べて播種が2週間ほど早かったため収穫も早めになっている。雨が欲しいタイミングで降ってくれたとのことで、害虫、カビなどの病気も少なく作付けも良い。
今年の課題としては雑草のコントロールがうまく出来なかったこと。
1979年にGMO大豆が流通し始めると、除草剤メーカーは淘汰されていった経緯がある。現在NonGMO用の除草剤は5~7のメーカーでの取り扱いがあるが、除草剤全体のシェアでは7%しかない。
除草剤の使用における重要なこととして、いくつかの種類をローテーションで使うことがある。これは雑草に除草剤への耐性が出来ないようにするためだが、全体シェアが7%しかない事もあり、資金等の問題から新しいものへの研究がままならない状態が懸念されている。使用できる除草剤が減ればローテーションが崩れることも考えられ、除草剤への耐性発生が危惧される。
ただ、GMO大豆用の除草剤については、耐性を持ったものが既に発生してきており、GMO農家達は最新のGMO用除草剤が流通するのを待っている状態。いずれにせよ、NonGMO大豆の栽培ではGMO大豆に比べ、雑草対策が格段に大変であることは変わらない。
「農家がどのようなところにやりがいを感じているかなど、把握するため仕組みがあるのか」との問いに対しては、「トロイさんが常にコーディネートをする形」とのこと。具体的にはほぼ毎日圃場を回り、生産者(ウィスコンシンの契約農家は約50軒)と1対1でのコミュニケーションをとる。厳しすぎると生産者が辞めていく可能性もあるが、甘くしてしまえばSB&Bの提供する商品の品質への信頼が落ちる可能性もあるため、SB&Bの基準を満たすべく総合的な判断をし、基準を満たさなくなれば契約を解除するといった厳しい対応も行っている。ただ、生産者達は自分達の大豆がどんな商品に使われどんな人に消費されるのか非常に興味と誇りを持っていることは確か。だからこそ選別工場への投資をしてもらっているのも事実との話であった。
その後、この工場の責任者ティムさんの案内で選別工場内の視察を行なった。今年で3回目の訪問だが、今回も衛生的な環境に感銘を受け、他理事からも同様のご意見が聞かれた。また、選別工場での生産者からの大豆受入時サンプリングにおいてGMO反応が出た場合の受入拒否や、選別基準の説明では、生産者の指導・教育が極めて重要な仕事の1つになっていることが分かっていただけたのではと思う。
140年続いている農家で現在は夫婦2人で経営している。合計300エーカーの畑で穀物を栽培しており、その他畜産も行なっている。圃場視察でも現在栽培中の生協向け品種SB-270の出来は上々で大きさ形も良いことが確認できた。水分量が20%以上ありそうだったので(収穫に適するのは約12%)、約2週間後の収穫予定。
ウィスコンシンに選別工場を設立した後に契約したため、SB&Bとのつながりは、まだ5年。しかしながら、仕事に対する姿勢と人間性から信頼できるパートナーとボブさんの信頼は厚い。先のトロイさんの話もそうだが、SB&Bの生産者とのつながりはこの点が大きい。