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コープ職員ルポ

アメリカ大豆生産者訪問記

コープ九州日配商品部:田中秀幸

2015年9月27日~10月2日、コープ九州の会員生協の役員のみなさんと、アメリカの大豆生産者、ボブさんを訪ねた。ボブさんが代表をつとめるSB&B社とは、国産大豆が不足してきた場合に備えて20年ほど前に取引を始め、育て方が把握でき品質がよい大豆生産のしくみを生協とともに築いてきた存在。今回は、その実態を会員生協代表の方に肌で感じていただき、生産者とのつながりも強化していくことを目的に訪問した。

その2=生協とのつながりで築いてきた他には無い仕組み。

【3日目】

大豆収穫作業視察

食用大豆は、基本的に雨があがったときしか収穫作業を行なわない。大豆が汚れないようにということもあるが、水分の保水率が14%程度の時の大豆が最も良い状態ので(あまりに乾きすぎていても不可)出来る限りその時を狙って収穫する。今回は運が良く収穫作業の視察が出来た。実は移動の車中で、農家からボブに「早く収穫したいから予定の時間を前倒ししてほしい」とTELが入ったほど、そのタイミングを計っている。それだけ品質に気を使っていることの表れで、ここには大豆農家の作物に対する責任とプライドを強く感じることが出来た。

GPSで自動運転中。広大すぎて、手動だと真っすぐならないことも。
とにかく全てがデカい。

キャスルトン選別工場(IAgProcessing)視察、ミーティング_ノースダコタ

2004年設立でNON‐GMO大豆、オーガニック大豆、小麦などを扱っており、設立当時最新式のプラント。ブルーマー工場とは選別ラインの流れ(機械の配置)が水平か縦型の違いのみ。キャスルトンはいわゆる居抜きの為、構造にあわせて水平に配置している。  現在、受入時のサンプリングにおいては、農薬のラウンドアップ、リバティに反応2本の試験紙(棒状のもの)を使用しているが、来年からはもう一つ新しい薬品に反応するものを追加し3本使用するとの事。5cmほどの小さな試験紙で1本15ドルと高価だが、ブルーマーでも同じ方法に変更する。キッコーマン(米国)が、それまでのGMO原料からNON‐GMOに変更するなど、アメリカ国内でもNON‐GMOへの認識が出つつあり、SB&Bとしてもそこを確実に担保する事が、信頼から今後の需要につながると確信しての行動と考える。

また、「アメリカにSB&Bのような会社は他にあるのか」という問いに対して、主として以下の2つをあげられた。

・他にもNON‐GMO大豆を扱うところはあるが、違うところはその中でも顧客と製品に合わせた様々な品種を準備できるということ。

・“生産”という部分も会社の一部ということ。実際に農家を指導・教育し最終出荷まで行なっているところは他には聞かない(他は出来上がった大豆を買い付ける形)。需要に合わせた大豆の種類、生産計画を行っているということが一番の強み。そのため大豆生産農家との関係性は非常に重要になる。

ボブさんのおじいさんたち。少しだけ面影が・・・。

「消費者と直接つながる農業をやりたいというのが自分の夢。初めての国際取引の相手だった日本の生協との関係はもっとも大切で特別なもの」と語ってくれたボブ(ロバート・シナー)さん。

各生協の代表、左からコープかごしま中山さん、コープおおいた江藤さん、エフコープ堤さん

【4日目】

NCI(Northern Crops Institute)訪問

1983年、ノースダコタ州立大学内に設立された独立機関。設立にはボブさんのお父さんも関わっている。主にノースダコタ、サウスダコタ、ミネソタ、モンタナの4州における農産物の世界各国への供給のため、それぞれの農産物(主に穀物)の研究を行なっている。大豆においても品種改良の為にこの機関が重要な役割を果たしてきている。豆腐に関しても、その製造に適した品質の大豆に品種改良するための研究が行なわれてきた。現在生協で使用している大豆「SB270」もここの研究で生まれたもの。当時の研究者から新しい研究者に変更となり、現在研究における豆腐製造機械を購入し使用していくことが決まっている。このことで研究上の数値にブレが少なくなり、より利用者の意向に沿った大豆品質の研究が可能になるとの事。

この機関の最大の目的はこの地域の生産物の“応援”である。また、どのような味わい・風味の大豆が必要かを絞りこんで、最終的に品種改良につなげることとあわせ、SB&Bの生産にとって意義のある機関である。

Northern Crops Institute いろんな農産物の研究がここで。
SB&Bが扱う各品種大豆の試験用畑 用途にあわせた様々な品種。

2015年度はノースダコタ、ウィスコンシン共に大豆の出来が良いとの事。現在、経済成長により中級階層が増加した東南アジアを中心に、NON-GMO大豆の引き合いは急激に増えている模様で、ボブさんの次男トッドさん(SB&B社員)もベトナムに出張中だった。ボブさんからは今回の会員生協役員訪問について、「生協のリーダーの方々から意見を聞けることは、非常に有益である。このような協議の場をもっと増やしたい。これからも多くの生協のみなさんに訪問してもらえると嬉しい」との発言があった。

今後もSB&Bとの関係性をよりよい形で維持していく為には、コープ九州だけでなく会員生協の協力と理解が大きな重要性を持っていることを相互で確認できた訪問となった。

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