コープ職員ルポ

アメリカ大豆生産者訪問記

コープ九州日配商品部:田中秀幸

2015年9月27日~10月2日、コープ九州の会員生協の役員のみなさんと、アメリカの大豆生産者、ボブさんを訪ねた。ボブさんが代表をつとめるSB&B社とは、国産大豆が不足してきた場合に備えて20年ほど前に取引を始め、育て方が把握でき品質がよい大豆生産のしくみを生協とともに築いてきた存在。今回は、その実態を会員生協代表の方に肌で感じていただき、生産者とのつながりも強化していくことを目的に訪問した。

その1=働き手に配慮した工場 信頼でむすばれた生産者。

訪問先:ウィスコンシン州、ノースダコタ州他

各生協代表者:コープおおいた 江藤専務理事、エフコープ 堤常務理事、
生協コープかごしま 中山店舗事業本部長補佐

【1日目】

成田からミネアポリスへの移動。アメリカ到着後はボブさん運転の車で新しい選別工場があるウィスコンシンに移動。

【2日目】

ブルーマー選別工場(IAgProcessingW)視察_ウィスコンシン

2010年に設立されたSB&B2番目の選別工場で、現在はNON‐GMO大豆、小麦、ライ麦、ソルガムを扱っている。
ウィスコンシンに選別工場を持ったことで、契約農家の範囲も拡大。ノースダコタと土壌の栄養分は変わらないが、より水はけが良いことから雨量が多いときでもあまり影響を受けない(雨量が少ないときは灌漑施設が必要となり影響を受けることがある)。よって、SB&Bとして2つの産地を抱えることは天候によるリスクを低減する効果がある。この5年で徐々に効果的な生産が出来るようになっているとの事。訪問のちょうど10日前にウィスコンシンで大きな大豆のコンベンションがあり、多くの国からの約300名がこの工場へ視察に訪れたとの事。それだけ注目されている最新鋭の設備と環境を持ったプラントと言える。

この工場の責任者ティムさんの案内で選別工場内の視察を行なった。3年前に1度訪れているが、今回も衛生的な環境に感銘を受けた。穀物の選別工場では穀物由来のこまかな粉塵が舞っていることがあるが、ここでは働く人の健康に配慮して粉塵を除去する装置を設置しており、ほこりの存在は感じない。大豆は30kg紙袋毎の梱包でコンタミを防いでいる、出来るだけ赤道から離れた航路の港を選んでいるなどについて、堤理事からは「NON‐GMO大豆の絶対量が少ないアメリカの中でSB&Bが極めて重要な施設であり、生協での扱いにおいても重要な存在である事が初めて分かった」との言葉があった。

また、選別工場での生産者からの大豆受入時サンプリングにおいてGMO反応が出た場合の受入拒否の説明では(2014年は2回発生したとのこと)、生産者の指導・教育が極めて重要な仕事の1つになっていることが分かっていただけたのではと思う。

ミーティング風景
ブルーマー選別工場外観

契約農家 農場・視察_ウィスコンシン(Mike Zwiefelhoter/ツィフェルフォッハーさん)

雨で畑の視察が出来ず残念であったが、お話を伺うことが出来た。140年続いている農家で現在は夫婦2人で経営している。合計300エーカーの畑で穀物を栽培しており、その他畜産も行なっている。

収穫の為に外に出していた巨大なハーベスターを格納庫に戻しているところだったが、2人で経営するには日本の感覚ではあまりに広大な畑でも、巨大な農機と効率化できる環境であれば可能なのだろうと感じた。SB&Bとのつながりはまだ4年との事。ウィスコンシンに選別工場を設立した後に契約した形だが、ボブさん曰くとても信頼できるパートナーだからお願いできるとの事。一方、農家側としてもSB&Bとの取組みについて、栽培においては今までと違う様々な制約など大変なことはあるが、ビジネスとしての魅力を感じたのだろうと感じさせる関係性であった。

ツィフェルフォッハーさん夫妻。お二人とも、とってもフレンドリー。
1930年代のトラクター(祖父の代の物)と一緒に

契約農家サイロ視察

<参加者コメント>

「百聞は一見に如かずで、ボブさんとの取り組みのことは熟知しているつもりだったが、現地を見て初めて知ることが多かった。コープ九州にはもっと商品提案もすすめてほしいし、鹿児島でも、取引先への斡旋、協同組合間提携としての経済連グループとの取り組み等、実現可能なことを検討し具体化していきたい。ボブさんを光らせる事に力を入れたい。」(生協コープかごしま 中山本部長補佐)

「SB&Bの歴史のなかで、2004年に選別工場を設立して、グループ内で分別管理ができるようにしたのが大きく、安心感がもてる取り組みだとわかった。コープおおいたの組合員の声をちゃんとつかむための現場の意識づくりを強め、商品の利用もすすめ、コープ九州を通じてボブさんたち生産者にしっかり返していきたい。」(コープおおいた 江藤専務)

「日本との規模の違い施設の違いをまざまざと実感した。SB&Bでは、生産現場を持っている強みをいかした契約農家の指導ができている。顧客だけでなく生産者の要望にも応えていることが成長の鍵だと思う。あらためてボブさんの大豆生産にかける熱意や情熱とその人柄にふれ、仲間を信頼していることが随所で伝わってきた。NON-GMO大豆の生産量が限られる米国におけるSB&Bの希少性、生協との取り組みの重要性、皆さんが真剣にひたむきに生産に取り組んでいることを感じることができたことが最大の収穫だった。」(エフコープ 堤常務)

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