その1 世界一の乾しいたけ産地をめざす 高千穂「杉本商店」を訪問しました 

コープ九州 食品商品部担当 福島あさひ

コープの乾しいたけを製造くださっている、宮崎県高千穂の「杉本商店」に
コープ九州スタッフと制作会社スタッフで訪問をしました。


写真は曇天のなかでもさわやかな山の空気に触れ笑顔の(左から)コープ九州COOPWEB 担当上田・IRODORIエシカル企画編集担当田村・食品商品部担当福島・制作会社担当阿南さん

早朝、標高 600 メートルの山に雲海をめざしてのぞみました

良質なしいたけの育成には、寒暖差や水分量が大切、とのこと。雲海は高千穂の
ような山岳地帯ならではの現象で、雲海で生まれる雲・霧が必要最低限の水分を与
えるそうです。あいにくの雨天でうっすらと見える程度でしたが、高千穂がしいた
け栽培に適した自然環境であることを理解できました。
画像は晴天の日の雲海の様子です。

 

 

生産者から持ち込まれます

取材に訪れた 4 月下旬は、すでに椎茸生産のピークは過ぎており、シーズン終了
に近い時期でした。
杉本商店では、1954 年の創業当時から、生産者から持ち込まれた乾しいたけをそ
の場で値付けして即時現金買取されているそうです。


写真はこの日に持ち込んでこられた熊本県上益城の生産者江藤さん

価格は、どんこ>香信、大>中>小>バレ※。農協に持ち込みしてもその場で精
算されることはないため、生産者にとってはメリットのある取引だそうです。持込
する生産者は 600 軒を超えるとのこと。600 軒もあれば、持ち込みのレベルにもム
ラがあり、大体の生産者はあらかたの仕分けを済ませた状態でランクごとにビニー
ル袋に詰めて持ち込まれています。仕入の際に、持込の仕方や栽培のアドバイスを
行うこともあり、単なる買い付けの場というよりは、双方向のコミュニケーション
が成り立っているようでした。また、社屋の前にはしいたけの原木がおいてあり、
必要に応じて生産者への販売も行っていました。
 
 
 
※バレとは、干し椎茸の傘が大きく開いて厚さが薄くなった状態のものを言いま
 
生産者はその場で書類(証明書)を記入し、その書類がしいたけの原料トレース
のスタート地点となっています。しいたけは仕入れが完了した時点から段ボール単
位で管理され、各段ボールは書類に紐づくバーコードシールが貼られていました。
最終製品から仕入時のバーコードまで確認できるため、生産者まで遡れるシステム
が作られていました。
 
 
 
 
杉本商店製造工場を見学しました

原料仕入れ段階から、段ボールごとにバーコード付きのラベルで管理しており、最終的に
は仕入時に生産者が記入した証明書まで遡ることができます。原料は常に段ボール単位で
データ管理され、ラベルからは入荷日と最終加工日を読み取ることができ、各製造工程完了ごとに、ラベルの色と最終加工日が更新されていました。生産者が乾燥をおこなって持ち込みますが、杉本商店ではさらに遠赤外線による機械乾燥を実施しています。重ねての乾燥は、メーカーにとって仕入れた原料のグラム数を減らしてしまう工程になりますが、この乾燥工程を経ることで旨みが増すため、よりよい品質を追求する、という目的で行っているとのこと。生産者から持ち込まれたしいたけはできるだけ買い取る方針のため、バレ、軸等はドレッシング等加工食品の原料やオリジナル商品「椎茸粉」の原料に活用されていました。

 

感想

しいたけ原料のトレース方法は商品担当として、知りたいと思っていた項目のひとつだ
ったため、管理レベルの高さに驚きました。また、品質へのこだわりを感じることができました。視察を通して、しいたけは生産から最終製品に至るまでに破棄する部分が少ない食材であることを理解できました。付加価値型のエシカル的な商品が注目される中で、既存の定番商品は見落としがちだが、日常に溶け込んだ商材に改めて美点を見出すことができて良かったと思います。また、杉本商店の地域にねざした仕入れ、業務委託、生産体制等から、製造業にとどまらずに、九州においての業界のリーダーシップをとっていらっしゃることが分かりました。

原木からしいたけを収穫させていただきました


ホダ場と言われる原木栽培の圃場についてはパート 2 田村担当の報告に続きます。

わたしのおすすめの食べ方は「バター焼き」です。

 

 

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