コープ九州 事業政策支援本部 上田 千歳
前回2回、コープの乾しいたけのメーカーである「杉本商店」の「長年にわたる生産者とのつながり」「真摯な製品づくり」を紹介してきましたが、3回目の最後は、人と人とのつながりで世界一の産地をめざす杉本さんの想いと仲間のみなさんについてご紹介します。
丁寧に作業を進められるみなさん
しいたけの生産は高齢化が進み、今後の担い手不足に対して杉本さんは危機感を抱かれていました。佐保さんに「原木を無償で提供するので栽培をしてくれませんか?できたしいたけは全量買い取ります」と申し入れされ、最初に2,500本の原木から始またそうです。現在は原木の数が12,000本にもなる生産地となっています。
しいたけの菌を植え付ける「コマ打ち」を行っていただいています。また、「軸とり作業」は通所されるすべての方が行うことができる作業ということもあり、作業所の収入も安定。時給換算でそれまで100円~200円だった賃金が400円~500円になったそうです。
杉本さんが、ある環境イベントに参加した際「これを買ったら何が起こりますか?」と若い世代の方に質問されたことがあるそうです。しいたけを栽培することが循環する森を守ることにつながっている、と思いますが、杉本さんの答えは
「障がいのある仲間が笑顔になります」。
「誰かの笑顔につながるお買い物」はエシカル消費をあらわす言葉です。エシカル消費を難しく考えなくても、何を選ぶか、私たちは行動を選択することができます。
多様性のある広葉樹の森が育む高千穂のしいたけ。
「世界中の人から『原木栽培の椎茸は本物』と言ってもらえるように、世界一のしいたけの有機栽培団体になる。和食の文化を絶やさぬよう、小さな行動を積み重ねられるような発信を行う、例えば、冷ややっこに醤油だけをかけていた人が、鰹節をちょっとのせる行動を起こすような、提案を」と杉本さんの発言のひとつひとつに、これから先の食文化に対する危機感と熱い情熱を感じることができました。
私たちが受け継いできた土地に由来する食文化。「和食」を難しい特別なものと考えずに気軽に挑戦できるよう、私たち生協は商品の向こう側やおいしい食べた方をしっかりお伝えし、つながりを大切にしていきたいと改めて思った高千穂訪問でした。
乾しいたけの戻し方は「SATETO」内の記事でもご紹介します。