コープ職員ルポ

ニュージーランド産牛肉・ラム肉生産地訪問記

コープ九州:新開 芳喜

ビタミンB群、鉄、動物性タンパク質などに富む牛肉。最近では、食べごたえはありながら、脂肪分の少ない赤身肉が注目されています。今回訪れたニュージーランドの牛肉は、まさに赤身が強くでクセの少ないすっきりした味わいが特徴の一つです。そんなニュージーランドの牛肉とラム肉の生産工程や輸出状況を目で確かめ、現地スタッフとの交流を深めるために、生産地を訪ねました。

その3=良質な肉の第一歩は素牛から。契約農家さんとの交流で見えてくること。

 

 


マイク・ウィリアムさんの農場を訪問。

 

最初に訪問したフィードロットが肥育しているのは、生後約14~18ヶ月の牛です。フィードロットにやってくる前の、繁殖から14~18ヶ月の間育てられる牛は“素牛”と呼ばれています。
アンズコフーズが買い付ける“素牛”は契約農家からのみ。「アンズコフーズ・グループ」の取り組みと哲学を理解し、共感してくれる生産農家とのみ取引をしています。もちろん農家との契約にも妥協はなく、厳しいチェックと監査を行っているそうです。
視察では、毎回国内約500軒の契約農家さんの中から1〜2カ所の農場を訪問しています。滞在最終日に向かったのは、ワカヌイのフィードロット「 ファイブスタービーフ 」の契約農家で、良質な素牛を安定的に供給しているマイクさんの農場です。

農場の環境

 

ファイブスタービーフから北東に車で約90分、リゾート地akaroa(アカロア)の近くに位置し、年間約270頭のアンガス種を出荷しているマイクさんの農場。太平洋に面した丘陵地に約500haの土地を保有しています。アンガス種の一貫肥育(10頭の種牛と300頭の母牛を保有)と羊(3,000頭の母羊)の生産を手がけるニュージーランドでは標準的な規模の畜産農家です。マイクさんは家族経営で父親の代から譲り受けた農場で、約40年間畜産農家を続けられています。

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山の中伏から臨むアカロア湖。観光船なども行き来する人気のリゾート地です。
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農場を丁寧に案内してくれたマイクさん。
ここでは、牛の健康状態のチェックや飲水の点検、グラス(牧草)の維持管理が毎日の仕事です。一年を通じて温暖な気候で、グラスや牛・羊の飼育に適した環境ですが、冬場はグラスが不足するため自家生産のライプ(穀物)を給与しています。マイクさんの農場では毎年12月に素牛を出荷しているそうです。
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母牛の乳を飲む子牛。牛たちは、広大な敷地でほぼ野生に近い状態で放牧されています。
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牧草もほとんど人の手を加えず自然に近い状態で育てられる。訪問時の牧草の状態は降雨が続いたためまあまあといったところ。
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マイクさんを囲んで記念撮影。この視察をアテンドしてくれたアンズコフーズ高橋さん(左)、秋山さん(右)、マイクさんの担当であるファイブスタービーフのキャトルバイヤーのマイケルさん(右から2番目)。
 

視察を終えて・・・

 

成長ホルモン剤や抗生物質、GM飼料を使用しないという畜産の取り組み、農畜産物全般にも化学肥料などを用いない、などの姿勢には、ニュージーランドの恵まれた自然環境を守ろうとする意識を強く感じます。また、政府から派遣された検査官の指導の下、工場の品質管理や衛生管理は豪州や米国と同様に、高い管理レベルが維持されています。

コープ九州事業連合で2008年から導入したニュージーランド産牛肉は、一般量販店の輸入牛肉(米国産や豪州産)と差異化した特長を前面に出した取り組みを進めています。そうした積み重ねもあり、コープ九州全体では店舗・無店舗を合算した取扱い数量も一定量になってきました(2015年度実績約270トン)。
ラム肉については、まだ取り扱いが少ないのが現状ですが、組合員さんからは定期的な取扱いを希望する声をいただいています。
多くの組合員さんにニュージーランドビーフ、ラムの魅力を知っていただくためにも、今後も取り扱い商品を増やしていきたいと考えています。

 

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