コープ職員ルポ
ビタミンB群、鉄、動物性タンパク質などに富む牛肉。最近では、食べごたえはありながら、脂肪分の少ない赤身肉が注目されています。今回訪れたニュージーランドの牛肉は、まさに赤身が強くでクセの少ないすっきりした味わいが特徴の一つです。そんなニュージーランドの牛肉とラム肉の生産工程や輸出状況を目で確かめ、現地スタッフとの交流を深めるために、生産地を訪ねました。
国全体が海に囲まれた島国ニュージーランド。日本と同じように四季があり、豊かな自然に恵まれた国です。国土面積の約半分が牧場といわれる畜産大国で、まちを車で走れば至るところで放牧された家畜を目にします。南半球に位置するため、季節は日本と反対。訪問した2月は夏の終わりの心地よい季節でした。
私がニュージーランドを視察するのは今回が6回目。組合員さんに安定した品質で商品をお届けするために、定期的に現地を訪れ、生産工程の確認・点検や生産者との交流を図っています。
まず最初に向かったのは、生協が扱うニュージーランドビーフの指定牧場である「ファイブスタービーフ(Five Star Beef)」フィードロットです。
フィードロットは日本語で「肥育場」と訳されます。食肉用として出荷する直前の家畜を“ペン”と呼ばれる囲いに入れ、穀物飼料を効率よく与えて肥育しています。
海岸を目前にした立地のため、海風が臭いや埃、熱を吹き飛ばしてくれます。これが、牛の疾病や農場内の衛生状態のリスクを軽減するという、牧場にとって最高の条件なのです。フィードロットで出る糞尿は敷地内で浄化・堆肥化されます。汚水(汚物)が外部へ出ないよう、環境保全の取り組みも施されており、訪れるたびに清潔で安心感のある牧場だと感じます。
牧場はニュージーランドの南島に位置。ニュージーランド第2の都市クライストチャーチから車で約1時間。ワカヌイという海に面した地域にあります。
ニュージーランドでは豪州同様、牧草だけで育てられる“グラスフェッド(牧草肥育)・ビーフ”がほとんどですが、ここファイブスタービーフはニュージーランドで唯一、“グレインフェッド(穀物肥育)・ビーフ”を生産している牧場です。
生後約14~18ヶ月齢の素牛を南島にある約500軒の契約農家より買い付けています。導入された牛は、穀物肥育の期間によって3種類に分けられ、肥育されます。最も長い240日のロンググレーン(ファイブスタービーフ)が全体の約10%、130日間のミドルグレーン(オーシャンビーフ)は80%、80日間のショートグレーン(ワカヌイビーフ)が10%の3段階です。
コープ九州での人気商品は、ほど良い脂肪分と適度な歯ごたえが特徴のオーシャンビーフです。薬剤に頼らなくても健康な牛が肥育できる理由は、海風によって空気が常に循環することで、衛生な環境が保たれるためだといえます。太平洋(パシフィック・オーシャン)に囲まれた世界でも希少なこのロケーションが育む、
まさにオーシャンビーフです。
日本でも「牛肉トレーサビリティ法」により牛肉の個体識別管理が義務付けられていますが、ニュージーランドでも同様に、すべての牛にイヤータグ(電子タグ)を活用したトレーサビリティシステムが導入され、品質管理の向上や効率化が図られています。
ファイブスタービーフの強みは、もう一歩踏み込んだ品質管理にあります。独自の一貫生産プログラム「セーフティービーフ・プログラム」が導入され、高い安全性を確保しているのです。素牛導入時には、成長促進剤が使用されていないか、医薬品(抗生物質に関してオーシャンビーフ規格以上は不使用)の使用記録を徹底的に確認します。飼料は地元カンタベリー産の穀物を中心に、大麦、小麦、コーンサイレージ等を1日2回、牛の成長段階に合わせて配合します。牛の飲水や飼料原料の検査が定期的に実施されるなど、その徹底した管理体制には感心せざるを得ません。
畑を案内してくださったのはフィードロットの牧場管理を担当するイアンさん。大麦、小麦、トウモロコシなど、飼料の多くは自家栽培しています。
ウシの記事なんだからちゃんとしたウシの写真が欲しい。
左半分が砂利道で右半分に柱と柵越しのウシって・・他にあれば別だが飼料や生産者の写真だけ?
日本という国土、気候風土の宿命というのかわかりませんけど、総てが法的措置、規則性で管理目的に生産される命の恩恵、食物連鎖に未来の食料危機を懸念するのは当然。
日本という国力、自然界とのバランスに家畜農場、農家だけで富国強兵という時代評価が既に終わっていると思います。