コープ職員ルポ
おいしい牛肉を提供し続けたいと肉牛の生産に取り組む石元さんですが、「仔牛がいない、値段が高い」という問題が!そこで力を借りたのは旧知の仲の福元さん。コープおおいたの産直牛のおいしさを支える柱のひとつは、お二人の連係でした。
コープおおいた宅配事業本部の山本です。
コープおおいたの産直品の内、畜産とたまごを担当しています。
産直牛肉の生産者である石元正彦さん。大分県豊後高田市の牧場でお一人で400頭もの肉用牛の世話をしていらっしゃいます。これまでは仔牛(素牛)の育成から成牛の肥育まで石元さんの牧場ですべて行なっていましたが、安定した生産と経営をはかるために仔牛の飼育は2016年から鹿児島県指宿市の福元さんの牧場に委託しています。
今回は石元さんが月に一度、鹿児島の委託牧場に行くのを利用して福元牧場の様子を確認してきました。
7月7日、鹿児島県指宿市の「いっしー」で有名な池田湖の近くにある、石元さんが育成期の牛の飼育を委託している福元牧場を職員2名で訪問しました。私達は、大分市から九重~熊本経由で指宿に6時間かけて到着。
一方、石元さんは6日に大分県内の家畜市場で購入した19頭の生後2カ月前後の仔牛をトラックに載せ、途中7月5日に屠畜した牛の枝肉を確認するため、豊後大野市犬飼の大分県畜産公社に立ち寄った後、一人で指宿まで来られました。
現在、産直牛肉になる生後2カ月のホルスタインの雄の市場価格は2年前の約3倍。ホルスタインは酪農農家のもとで生まれ、雌はそのまま後継の搾乳牛として残り、雄は肉用牛として市場に出されるのですが、今は雌雄産み分けの技術が開発され、雌のみ生まれるようにしている農家も多く、また和牛の精子でF1(交雑種)を生産する農家もあるため、市場に出る雄の数が減っています。全国的に酪農農家の戸数が減少していることも、仔牛の値上がりにつながっています。
石元さんも、昨年まで、育成農家が2ヶ月~約7カ月(300kg位)まで育てた牛を購入していましたが、「採算が合わない」、「後継者不足で設備投資ができない」などという理由でやめていく育成農家が多くなり、市場で7カ月前後の牛を購入することが難しくなっていました。
この状況の中、「仔牛の育成から手掛けないとこの先畜産を続けていくことは難しい」と考えた石元さんでしたが、育成期と肥育期では餌も管理方法も異なり、また、さらに規模を拡大して豊後高田市の牧場内で一人でするのは難しい。と思っていたとき、ちょうど、以前からの知り合いでいい牛を育てていた福元さんが廃業しようとしていることを知り、「借り上げるので石元牧場の育成牧場としてやっていただけないか」とお願いしたそうです。
石元さんの願いを、福元さんが快く引き受けて、現在の石元さんが仕入れ、福元さんが育成期の牛を健康に育て、石元さんが更にその牛を肥育するという、牛の飼育の一貫した流れが実現しました。
一度は廃業されようとしていた福元さんですが、今では設備(牛舎)やこれまでの牛飼いの経験が役に立つ事が喜びとなり、声をかけてくれた石元さんに感謝されているということです。
牛を飼う中でも、人間の子育てと同じく特に細やかな気遣いと経験が必要とされる育成期。
この緑豊かな自然に囲まれた牛舎で育成期を過ごした牛達が、エネルギッシュな石元さん
と経験豊かな福元さんの連係プレーで健康で元気に育てられていることを確認する事がで
きた訪問となりました。
石元牧場の様子はこちらからご覧いただけます。
【産直コープおおいた産直牛>おいしさと安全は譲らずに、効率化経営に励む若き「牛飼い」】