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コープ九州PB鮭フレークの海外工場点検を行いました

コープ九州 食品商品部  福島あさひ

 

 

概要

 

コープ九州のPB商品「鮭フレーク」は、北海道で水揚げした鮭を使用し、北海道斜里郡の工場で製造していますが、原料鮭の加工量が膨大なため、原料加工の一部(ドレス※→ほぐし身への加工)を外部の工場に委託し、安定した製造を行っています。

今回は、2024年11月20日から2日間、原料加工委託製造元の工場点検・原材料トレース確認として、鮭ほぐし加工の委託先である、Famisea Food Jsc(FMS社) を訪問しました。

※ドレスとは…魚の頭部やエラ、内臓を取り除いた加工段階のこと


今回の参加者 FMS社の前で記念に撮影しました。FMS社のみなさま、ハッピーフーズ様と、コープ九州スタッフ。左から5番目中央が福島です

 

 

こちらの商品の原料加工を行っているのがベトナム東南地方です。FMS社はホーチミン市から車で1時間弱くらいの場所です。

 

内容

 


 FMS社は日本向けの委託加工が専門で、自社の販売商品はありません。従業員は女性が多く、事務職はほとんど女性、製造セクションでもワーカーの男女比は60%が女性とのこと。ただし近年は男性が増えてきているそうです。賃金は歩合制で出来高によって変動するため、どの班がどのくらい作業したか計量するスタッフがいます。

 

 

FMS社の作業場は全部で6ライン、鮭ほぐし加工は第1ラインで行っており、第1ラインは基本全量ハッピーフーズ向けですが、鮭の製造がない時は他魚種の製造が入ることもあるそうです。

 

写真で見る製造工程

 


はじめの解凍

三枚おろしから骨取作業、残骨チェックを行います

残骨チェックを終えた原料

ブラックライトでアニサキスのチェック

スチーム

皮と血合い、残骨を除去します

異物(骨・皮・血合い)の目視点検

目視点検後の原料

 

計量、密封した原料この後加熱します。

 

加熱殺菌後の冷却

 

所感含む補足

 

残骨チェック後、ブラックライトでアニサキスの除去を行っています。ブラックライトが作業台に設置してあり、作業台は黒いカーテンで覆っているので、目への負担が重くないか気になりました。

 

 


2時間毎に清掃行っており、道具類(プラかご、ナイフ、バット等)含めてすべて洗浄しています。プラかごは劣化が起こるため、製造のたびにささくれを点検し除去すしています。ここまで丁寧にチェックをしている企業は中々ないとのこと。また、コンベア式の洗浄機、2Fのエアシャワーは2019年点検時の点検以降に設置されています。製造環境の整備、異物混入のリスクを下げる設備を増やすというあたりからも品質管理に対する意識の高さが理解できました。

また、工場外周を一周して排水施設、ごみ置き場含めて確認しました。。ごみ置き場だけでなく、機材置き場やバックヤードも整理整頓されていました。

 

FMS社が非常に強力的で、質問に対しても的確な返答をいただけ、点検はスムーズに進みました。また、依頼した記録や帳票が出てくるのも早く、責任者がしっかりと把握していることが分かりました。

 

点検終了時に2日間にわたる協力への感謝を伝えたところ、「自主点検ではいずれ見落としが生じてしまうので、こうして外部の方に見ていただけるのはうちとしても助かる、またやってもらいたい」とご返答をいただき、FMS社にはぜひ引き続きQPBの一次加工をしていただきたいと思いました。

工場の環境・運用ともに問題なく、品質も安定していました。トレースについても、日本からの輸出コンテナ→現地営業倉庫→FMS社での加工→国内へ輸入まで同一のコンテナ番号で管理しており、トレース可能であることを確認できた点検となりました。

 

 

ベトナム出張全体についての感想

海外点検で大変なところはやはり言語です。普通の会話はもちろん、専門的な議題となるとより難しくなるので、お互いが理解できるまで根気よく話し続けることが必要になります。今回は、FMS社の責任者の方(ソンさん)は日本に勤めていたご経験もあり、点検時はソンさんの日本語力にとても助けられました。余談ですが、ソンさんが日本で暮らして驚いたことは、鶏肉が安いことだったそうです。

 

 「Famisea」の社名の由来は「Family」と「Sea」を合わせた造語、とのこと。家族のような結束力を持った水産会社という意味だそうです。社名に込められた想いを伺うと、FMS社への理解がより深まったように思いました。

鮭の骨を取る工程は、FMS社のやり方のような、解凍原料を3枚におろして骨を取る手順と、ドレスごとスチームをかけた後に骨を取る手順があります。それぞれの加工に長所があり、どちらかが優れている、というお話でもありませんが、FMS社は魚を捌くノウハウをしっかり引き継いでいるので、3枚おろし等の加工技術があり、解凍原料での骨取りが可能です。このように、鮭をほぐし身にする加工ひとつをとっても、FMS社の強みを活かした製造工程となっています。

 

点検中の福島

工場点検は、製造・品質管理の確認が目的ですが、このように、各製造元の強みや、点検票を見ても書いていないことを知るのが醍醐味だな、と個人的には思っています。そうして知ることのできた情報をこのように職員ルポとして記録できる機会をいただけてうれしく思います。ありがとうございました。

 

 

 

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