久門智弘 来歴
1988年エフコープに入協。宗像支所に着任後、若木台・日の里・福間エリアなど担当、配達業務を行う。
主任業務を経て2002年エフコープの商品部(当時のくらし企画部)へ異動。2005年コープ九州に出向しカタログ編集室(当時)にてカタログ協同化と「よかったね要望企画」のエフコープ→九州統一企画業務を行う。2013年に事業企画部にてWeb企画とeフレンズ推進を行う。(2016年には離島エリアのeフレンズ推進のため、八重山諸島6島を約4日間で駆け回る)、2020年からはギフト媒体を担当し商品調達・企画・カタログ制作に携わっています。
アレルギー対応「ペプティーケーキ」
若松支所時代に知ったアレルギーをお持ちのお子さんの事例から、次はアイスではない、スポンジとクリームで作ったケーキを食べさせてあげられないかという思いは常に心の中にありました。
よかったね要望企画の中で、「アレルギー対応商品」を掲載するコーナーがあり、いろんなメーカーや取引先と商談していく中で長崎市に「ケーキの西銀」というケーキ屋さんがあり、アレルギー対応の「アトキッズケーキ」を製造販売していることを知りました。
クリームは乳を使わず、スポンジケーキは通常の1/10程度に低アレルゲン化した小麦粉を使ったケーキでした。今では米粉でスポンジを作ったグルテンフリーのものが出回っていますが、当時は米粉はあまり品質の良いものは製品化されていませんでした。
大牟田市にあるオーム乳業というメーカーと取引があり、ケーキの西銀に製造委託した「ペプティケーキ」というアレルギー対応のケーキがありました。これまでの経緯を話し、企画するために話を進めていたのですが、大きな壁にぶつかりました。
「美味しくないのです」。
乳原料を使用していないクリームなのでバタークリームのような、重い口当たりで、スポンジケーキもふんわり感がなく硬い食感でした。当時大山乳業が製造するエフコープオリジナルクリスマスケーキが1ホール2,000円台の価格でしたが、ペプティケーキは4,000円を超える価格となりました。
「ダメだ、これじゃあ利用してもらえない。どうしたものか」と考えていたところ、当時のエフコープ大里支所(北九州市門司区)に「アレルギーの会」という組合員活動の集まりがありました。
「そうだ、実際にアレルギーのあるお子さんを持つ組合員さん達に意見を聞いてみよう」と考え、ペプティケーキの試食サンプルを持ち込んでケーキの感想含めて聞いてみました。
みなさん、アレルギー対応のケーキに興味津々と言う感じでしたが、「確かに微妙な味ね」「私はたぶん買わないかな。こういうケーキがあるよと言う紹介はもちろんやるけど」等のご意見もありました。「まぁ、それが本音だよね」と思ったのですが、ある組合員さんが、「久門さんは生クリームを使って、ふんわりしたスポンジのケーキの味を普段から食べているから、これがおいしくないって思うのよ。ケーキを食べたことがない(食べられない)子どもにとってはおいしい、おいしくないってことより、食べられるケーキが食卓にあることが大事なことなの」「そうそう。値段もね、特殊に作っているから高くなることはわかってること。高くても初めてわが子がケーキを食べられるなら買うわよ」という言葉でした。
目の前の霧がすーっと晴れていったような感じでした。
それからはエフコープ内の職員や支所向けの会議などで商品調達のきっかけや、企画までの経緯などを話しました。配達の担当さん達からも組合員さん達におすすめしたときのリアルな情景(コト情報)が日報に書いて寄せられました。
いくつか紹介します。


ペプティケーキの調達・企画は「現場の担当者も一緒になった取り組みの力」によるものでした。
仕事を長く続けていると、いろいろな経験や知恵が身についてきます。時には失敗もしますが人間ですから失敗はするのです。
大切なのは失敗から学ぶこと。「同じ失敗は繰り返さないこと」です。
1つの商品をカタログに掲載すると、そのカタログは九州内約55万の組合員さんのもとに届けられます。
モノを売りたいと思っているメーカーや取引先から見れば何とか取り込んでもらえないかと望むところだと思います。ですから時には企画してもらえるような発言や態度で接してこられます。
でも勘違いしてはいけないのは、私たち個人の力や能力がすごいのではなく、たくさんの組合員の結集があるからなのです。
私たちは基本的にモノを作ることはできません。モノを作る生産者、メーカーがいて、そのモノを安全・確実にセンターや店舗に納品してくれる、生産者・メーカーと生協をつないでくれる取引先(帳合先)がいて、組合員さんに商品を届けられるのです。
昔、先輩に「組合員にとってどうなのか」「生協にとってどうなのか」「自分にとってどうなのか」を考えて仕事を組み立てるべきだと言われたことがあります。
商品担当としては、この3つに「取引先にとってどうなのか」がプラスされると思っています。組合員にとってどうなのかは最優先されるとしても、取引先へ大きなダメージとなるようなことはあってはならないと考えます。
以前、他社小売り合同の商談会に参加したとき、私の隣のブースから「うちは全国に500店舗あるんですよ。仮に1つの店舗で1日1個しか売れなくでも1日500個売れることになるんです。1か月で15,000個ですよ!」
全国チェーンのドラッグストアのバイヤーのようでしたが、まだこんな商談をしているんだと思いました。
「こんなに売ってやれるんだぞ」驕り高ぶっていますよね。

モノづくりの生産者・メーカー、それをつないでくれる取引先と連携してこそ商品を組合員(消費者)に届けられることを肝に銘じないといけないと思います。どこが偉い等はない、同じ立場のパートナーなのです。
コープウェブラボ編集部よりお願い
久門さんの関わった「ペプティケーキ」開発の舞台裏は当時日本生協連の発行する書籍でも紹介されました。
『商品担当読本』2冊組の商品担当の心得や当時のマニュアルが掲載された書籍です。
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