コープ職員ルポ
ワインブームと言われて久しく、今やすっかり食卓の定番となったワイン。実はエフコープのワインの歴史は古く、ブームのずっと以前から、手ごろでおいしいワインを取扱って来ました。今後、さらにワインのラインナップを充実させるに当たり、エフコープの担当職員・石川梨香が、長年おつき合いいただいているフランス・ボルドーの生産者を訪ねました。
ボルドーでは、「組合」という言葉も耳にしました。皆で出資をして協同組合形式でワインづくりを行うこともあるようです。サンテミリオン生産者組合もそのひとつ。世界恐慌直後の大変厳しい時代、生きていくには力を合わせるしかないとの切実な思いから生産者どうし出資をして結成された組合です。
設立当初は7社(者)だった組合員は、訪問時には165社(者)になっていました。そのうち60はシャトー。1932年につくったタンクや1933年に収穫したブドウを入れたタンクも、現役でつかわれていました。
ここでは醸造からボトル詰めまでを行っており、二次発酵の後は、フランス産オーク材の樽に入れて寝かせています。工場内に並ぶ樽は、5000を超えます。多くの組合ではできたワインをそのまま販売するのとボトル詰めして販売する割合が半々だそうですが、ここでは自分たちで最後までやり遂げたいという思いで、ボトリング割合が95%。
生産者組合ですので、組合の投資計画や今後の方針は、生産者代表21名の協議で決めていくそうです。現在力を入れているのは、アグリ・コンフィアンスを重要視したワインづくりです。これは、フランス国内で農業者・農産物に対する認証制度の一つ。グローバルGAPと管理項目が重複しているものが多いが、より環境保全に重きが置かれています。工場内に検査室を設け、科学的なデータも活用して、環境負荷の少ないワインづくりに取り組んでいます。
今回の訪問では、その他にもこだわりを持ってワインづくりに取り組む方々にお会いすることができました。
家族経営のシャトーで、3代でワインづくりに取り組む3代目の言葉
「土から生まれるワイン、この土地の力を活かしたワインをつくりたい。本当は売れる、売れないは考えずに、そこを追求したワインだけをつくりたいんだ」 道1本越えただけで変わるというブドウとワイン。
各国の有機栽培基準に沿って生産をしている生産者の言葉
「土もふかふかで、虫もいっぱいいるだろう。ブドウの葉も生き生きしているだろう」
土、気候、ブドウの種類、樽、技術、その土地の歴史、つくる人の想い、さまざまな要素でワインのおいしさがうまれます。
価格や生産国だけでは語ることのできないワインの奥深さと魅力を再認識しました。そんな情報をもっと組合員の皆さんに伝えていきたいという思いを強くした訪問でした。
2014.12.30
エフコープ商品政策室 石井