生協くまもと 管理本部総務部 篠田真衣 牧下由美子
生協くまもと 無店舗事業本部無店舗商品部 鶴野 志乃
2023年10月2日(月) この日の朝、熊本県上益城郡の生協くまもと熊本本部には6人の次年度4月に入協する職員が緊張した面持ちで集まっていました。この日内定式が行われました。
10時から始まった内定式が終了した後、内定者の研修です。
午前中は総務部より「生協くまもとについて」無店舗商品部より「産直学習」を座学で行いました。
午後訪問を行う「寺本果実園」のみかんが掲載されているカタログ紙面を全員で確認しました。
私は管理本部で採用と広報の業務を行っている篠田真衣です。今回、内定者研修で学習と産地交流を企画しました。きっかけは、4月に行った新入職員研修で産直生産者さんを訪問した際に、私自身が生産者さんの想いに触れ、感銘を受けたからです。この「想い」を商品の良さと一緒に組合員さんに伝えていくのも職員の使命のひとつだなと感じ、内定者のみなさんにも知ってほしいと思いました。直接話を聞いたり見たりすることで自信をもって進めてもらえるだろう、また組合員との会話のきっかけにもなるだろうという思いもありました。
私は無店舗商品部の鶴野志乃です。今回の研修では、内定者のみなさんに「生協の強みとは」「大切にすべき考え方とは」をまず知ってほしいと思いました。ひとことに「産直」= “安全・安心・生協らしさ”をアピールするのは簡単かもしれません。しかし、何をもって「産地直“結”」と言うのかを言葉にして説明できる生協職員は少ないのではないかと感じていました。
「おいしい商品を組合員さんに食べてもらいたい!」という生産者の熱い思い、努力、苦労が根底にあって、そこに組合員さんの意見や気持ちが加わり、我々生協職員を含めた三者間の交流を経て、「産直商品」が生まれています。
「だから、おいしいんです」「だから、安全なんです」「だから、この価格なんです」と胸を張って伝えられるようになってほしい。内定者の皆さんへの30分間の座学に私の思いを込めました。
河内の圃場にて 寺本さんと交流
午前の部終了後、生協くまもと本部から熊本市西区河内町の寺本さんの圃場まで移動です。
寺本さんの作業場にて、先輩職員も内定者も車座になって交流スタートです。
生協くまもととのつながりの歴史を含めて、いくつかのテーマに沿って、寺本さんにお話しいただきました。
寺本果実園と生協くまもと
ご自身が子どもの頃、先代のお父様が生協との付き合いをはじめられた寺本果実園。寺本さんは若いころ、みかん農家になることなど考えていなかったそうです。
しかし、生協職員が自宅に来るなど、交流を見続けていたり、作ったものに対して反響があることに対して思うところがあり、いつの間にか継いでいた、とおっしゃっていました。父親と生協職員のつながりが後継者になる後押しになったと受け取りました。
「産直は生協の顔」プレッシャーになります。と寺本さん。
大切にしていることが3つあるそうです。
1:うまい、ということ。まずは味が大切。
2:安全安心、ということ。見かけ優先ではなく、なるだけ農薬を使わずに育てること。生協は本当にシビアなので私のポリシーにあっている。
3:適正価格、ということ。どんなにおいしくても万人が購入できないものではだめ。
酸味と甘みのバランスがいい「愛されみかん」とわたし鶴野は呼んでいます。病害虫に対しても農薬を極力散布せずに育てることは、努力あってこそだと思っています。
寺本さんのお話内容についてはもっと深く、しっかりとお伝えしたいので、ルポその2 「みかん生産者 寺本さんから教えてもらったこと」に続きます。
ご苦労や内定者へのアドバイスをいただいた後は、圃場に向かいました。
山を登っていき、下りに差し掛かるカーブを降り始めた瞬間、目に飛び込んできたのは有明の海でした。まぶしい斜面いっぱいに広がるみかんの青い果実と樹木です。向かいに見えるのは雲仙です。
2024年1月にカタログに掲載されるみかん「青島」をバックに寺本さん。青い果実が実っています。
目を開けておくのが厳しいほどのまぶしさです。みかんは斜面に降り注ぐ光も、地面から照り返す光も重要です。
病害虫を広げないことを第一に考えると、一か所に圃場を集めるよりも分散させた方がリスクが少ない、と寺本さんは30か所の圃場をお持ちです。その中でも、高台にあり、有明海からの風が畑の上を通って届く八朔と青島みかんの圃場を紹介くださいました。
日当たりや風の通りなど、条件によって適正な生育品種がある、とのこと。江戸時代からみかんを作っている河内という土地のお話や、みかんの木の樹齢によって異なる食味の話しなど、説明を受けました。
また、猪の被害に悩まされており、15年前からハンターの資格も取られて町全体が抱える問題に向き合われているそうです。寺本さんが生まれた時から働いてくださっているしょうがいを抱えるスタッフの話しなど、農福連携のお話は、その2に掲載します。ぜひご覧ください。
説明を受ける内定者 崖すれすれに立たれる寺本さんにドキドキしました。
内定者のみなさんの感想
★獣害があるということを伺いましたが、狙われる程美味しんだな、と思いました。まずみかんを食べてみたいと思います。
★人と人とのつながりが、友人のような関係性であれば続いていくんだ、と思いました。4月に入協した後、つながりを大切にしたいと思います。
★生産者が「熱い!」ということが分かりました。
コロナ禍で人と人が会うことが減っていました。しかし、顔を会わせて交流することを私たちは期待しています。「寺本さんところに遊びに行こうかね~」という関係性が大切だと思っています。そこが生協の強みだとも思っています。
私は総務部の牧下由美子です。この日、午前中はレクチャーを行い、午後は内定者に同行して寺本果実園を訪問しました。
山を登ってたどり着いた圃場は景色が良く、空気もとても美味しくて私はこの場所に立っているだけで癒されました。内定者のみなさんもそう感じだと思います。
寺本さんの苦労話しをお聞きし、いつも何気に食べていたみかんも生産者の方の顔を思い浮かべながら感謝して食べないといけないなと実感しました。
内定者のみなさんと一緒に車ですが、、山に登り、素敵な景色をみて一体感が生まれたと私は勝手に思いました。早く寺本さんのみかんが食べたいです。
内定者のみなさんに、感じていただくことがたくさんあったと思います。私たち先輩職員も多くの気づきや学び、課題に気が付いた一日でした。
これからみかんの季節です。私たちの産直商品である「寺本果実園」のみかんの良さをしっかりお伝えしていきたいと思います。
そしてまだまだお聞きしたご苦労や楽しいお話をその2でご紹介します。