生協らしさ。生協の側にいると、ぴったりの言葉が意外と見つからない。世の中の皆さんはどう思ってらっしゃるのか?聞き手は、哲学者の鞍田崇さん。毎回、さまざまなゲストをお招きして、鞍田さんが考える生協っぽさを追いかけます。

【第二回】飛騨高山でやわい屋を営む朝倉圭一さんをお招きしました。

 

二回目のゲストは、移築した古い民家で、ギャラリーと私立図書館を併設する民芸店の店主、朝倉圭一さんです。冷静に世の中を見つめながらも、地元にしっかり足を付けた日々。民芸研究でも知られる鞍田さんの目に、朝倉さんの暮らしは、どう映ったのでしょうか?


動画は01から06最終回まで、全部で6回に分かれています。それぞれ10分強。以下、気になるコメントを抜き書きしてみました。さあ、はじまりはじまり。

 

 

02:12

朝倉: 民芸との出会いというのは、元々民芸というものに関心があって、それはモノとしての関心ではなくて、風土、宗教的な、土地土地の営みというものの方に興味があって。柳宗悦という民芸の指導者も宗教研究をしている人だという認識が非常に強くありまして。

04:09

鞍田:パーフェクトな共同体なんてないと思うんですよ。お互いノイズを立て合うのが人間の本来の姿でもあるだろうから、それをグッと飲み込んで長いものに巻かれるような、そうなってることの無理が来てるんだろうから、ぶつかり合って当然だしそのぶつかり方が不健全な場合もあるし排除性を孕む事もあるんだろうけどね。

05:38

朝倉:「弱い」ってすごい大事で。今、丁寧に作られてるっていう事に対してすごく一般の関心が向いてると思っていて。高いものは良いものとか、丁寧に作ったから高いんだという認識はおかしいなと。でも丁寧にもいろいろあって、丁寧だから丈夫なわけではないんです。

06:35

朝倉:1970〜1980年代頃まではどれだけ貧しかろうが、周りに同じく貧しい人たちが居たから乗り切れましたよね。自分たちと対になる仲間たちも居たし、乗り越えた先輩たちも居たし憧れられる先輩たちがまだ目の前に居て、尊敬できる大人たちも居たじゃないですか。

02:22

鞍田:そこの矛盾だよね。プロセスへの参入とかに飢えている人たちが居て、そういう人たちにそういう場を提供するサービスも充実してきてるんだけど、その当人たちが手間をかけるっていう事を省くっていう。

01:33

朝倉: 1人の幅から抜けないからこそ貧しさのロックが掛かってて規模感が固定されてるからできる事があって。これがお金借りてきて従業員増やしたらもっと多角経営できるんですけど、それをやりだした途端に削ぎ落とされてしまうノイズがあるっていう風に思ってるんで、僕は「やらない」っていう事をすごく大事にしてるので。

 


PROFILE
鞍田 崇
(くらた・たかし)

哲学者

1970 年兵庫県生まれ。京都大学文学部哲学科卒業、同大学院人間・環境学研究科修了。博士(人 間・環境学)。専門は哲学・環境人文学。総合地球環境学研究所を経て、2014 年より、明治大学理工学部 准教授。理工学研究科新領域創造専攻安全学系を担当(2017 年度より組織再編により建築・都市学専攻総 合芸術系と兼務)。近年は、ローカルスタンダードとインティマシーという視点から、工芸・建築・デザイ ン・農業・民俗など様々なジャンルを手がかりとして、現代社会の思想状況を問う。著作に、『フードスケ ープ 私たちは食べものでできている』(共著、アノニマ・スタジオ 2016)、『知らない町の、家族に還 る。』(共著、兵庫県丹波県民局 2016)、『民藝のインティマシー 「いとおしさ」をデザインする』(単 著、明治大学出版会 2015)、『「生活工芸」の時代』(共著、新潮社 2014)、『ウォーキング・ウィズ・ クラフト』(共著、松本クラフト推進協会 2014)、『人間科学としての地球環境学』(共著、京都通信社 2013)、『道具の足跡』(共著、アノニマ・スタジオ 2012)、『〈民藝〉のレッスン つたなさの技法』 (編著、フィルムアート社 2012)など。共訳として、絵本『たべることは つながること』(福音館書店、 2009)、『雰囲気の美学』(晃洋書房、2006)など。

http://takashikurata.com


朝倉 圭一
(あさくら・けいいち)

「やわい屋」店主

岐阜県高山市出身。20代前半に音楽家を志すも挫折、見切りをつけ高山へUターン。会社員を経て2016年同高山市内から解体された古民家を移築再生し、民藝の器を扱うお店「やわい屋」オープン、2021年現在、同古民家に暮らしながら、屋根裏の私立図書館・天窓のあるギャラリースペースを増設し、日々のらりくらりと営みを継続中。

https://yawaiya.amebaownd.com/

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