コープ九州 久門智弘
玄海漁港へ
呼子の剣先イカがほとんどとれていないという情報をキャッチし、冬ギフト「呼子のいかづくしセット」の安定供給のために玄海漁港を訪問しました。
鮮度にこだわる環境づくり
玄海漁港の加工場は海の横にあり、敷地内に20個ほどの小型のいけすを設置し、漁師さんが自分の番号のいけすに船を横ずけして活きイカを入れていきます。
活きイカの入ったいけすをフォークリストで隣接の工場に運び、工場の方々が見事な手さばきで内臓を処理し、包丁を入れて、いかの姿づくりを作り、CASという急速冷凍機で冷凍します。
イカのさばき方については、最初は専門の職人を招いて教わったそうですが、工場長曰く、「今は職人さんより作業は早いと思います」とのこと。
ものの数十秒でイカをさばき、CASで急速冷凍をかけるシングルフローズンですので鮮度は抜群。
工場長や従業員の方々は、「呼子のイカ料理店で食べる活きイカより、CASで冷凍したイカのほうが旨みがある」と口をそろえます。
船からいけすに入れられたものをいけすごと工場に運び、すぐ処理されるイカと、船から配送車に移され、配送車からイカ料理店のいけすに運ばれ、いけすでしばらく置かれ客のオーダーに合わせて処理されるイカとでは鮮度やストレスに差が出るのだろうとも思います。
イカが いない わけではなくて…
呼子のイカの状況については沖が時化て漁に出られないという理由もありますが、工場長曰く、温暖化で海水温が上がり、イカが水温の低い更に沖(対馬当たり)にもぐってしまっていて、それに加えて燃料の値上がりで遠場への漁を見合わせていることが大きな原因とのことでした。
イカ漁の場合、夜通し発電機で海面を照らす必要があり、燃料費の上昇は死活問題とのこと。
対馬当たりまで片道数時間かけて行って、もしイカがとれなければ赤字となるため、漁師にとっては二の足を踏んでいるそうです。
「うちのギフトは呼子のいかづくしセットは利用が多いのですが、そんな状況で確保は大丈夫ですか」と聞いたところ、「ヤマフさんから例年の計画数は聞いていますので、コープ九州さんの分は既に確保しています」とのことでした。
冷凍は嫌だぁ~
工場のすぐ横にいか料理の有名店がありますが、平日の11時ごろにもかかわらず10名くらいが並んでいました。その中の4人が工場のいけすをみていた我々のところにやってきて、「何が入っているんですすか?」
『普段はイカが入っているんだけど、今日はイカがとれないからはいっていないんですよ。その店は今日活きいかは出せるって言ってました?』
すると4人のうちの女性が、「えっ? 呼子にイカを食べに来て活きいかじゃないときってあるんですか?」
『イカが数日とれなかったら出せないですよ。そのときはうちが作った冷凍になりますよ』
「えー、マジですか? 冷凍? 呼子に来て冷凍は嫌だー」
工場長はその有名店とも取引があるということで、店舗に電話で確認してあげていましたが、『今日は活きいかはあるそうですよ』「あーよかった」
いくら冷凍の方がうまいって言っても、食べに来たお客さんの現実はあれですよ、とみんなで笑いました。