コープ職員ルポ
臼杵市は、大分県の東南部に位置する人口は約4万人のまち。東は豊後水道に面し、ふぐ料理や石仏でその名を知られています。そして醬油やみそなど、醸造業が盛んなまちでもあります。その臼杵に、コープの醬油やみそを製造しているフンドーキン醬油株式会社があります。醸造のまちに根ざしたフンドーキンの歴史と今を訪ねました。
味噌の原料は、大豆と米や麦。受け入れ時にサンプリングを行い、動物(虫)はゼロ、植物性のものは3個以内に達しているのもののみを入れています。受け入れた原料は、選別ラインで確認。色彩選別機などを使い、ごみなどによる二次汚染を防いでいます。機械は最新式ですが、その調整は人が行うため、人材育成が大事な課題だそうです。
味噌づくりを図式にするとこのような流れになります。
大豆と麹と塩をまぜて発酵させてつくるのが味噌ですが、麦味噌は西日本から九州で多くつくられています。小手川社長によれば、九州は麦の生産地だったこともありますが、米が潤沢にあるほど豊かではなかったからでは?とのこと。味噌はそれぞれの家でつくられることも多く、商売としてつくっていたところは醬油ほど多くなかったそうです。
麦麹にする麦は、ハダカムギやオオムギなど、主に九州産を使っています。工場長の今﨑さんによると、九州は麦の産地だけあって、殻を削るのが上手なメーカーがあるのだそうです。原料を育てる人、使える形にする人、そして味噌をつくる人、食べ物は多くの人の手を経てつくられているのだということを感じるお話しでした。
工場内には蒸した大豆の香りがほわっと漂っています。大豆はまず夏場は8時間、冬場は10時間かけて水に漬けられます。その後、余熱を利用して80度で40分間煮、さらに高圧で短時間蒸してやわらかくしたあと、3ミリサイズのミンチ状にします。3ミリは分解をすすめるためにちょうどよい大きさです。
今﨑さん曰く、ここが重要な工程。短時間で蒸して、蒸した後の工程をすばやくすることで、大豆の色が変わらずきれいな色の味噌ができます。だから味噌は時間が命。手際のよさが肝心なのだそう。
その後大豆は、40~45時間寝かされた麹と塩とあわせられ攪拌。2トンタンクにつめて、振動板でならし、200キロの重石を置いた状態で発酵室に運ばれます。
醗酵室には、25℃の部屋と33℃の部屋があります。味噌の種類によって、温度と入れておく時間が決まっています。味噌それぞれの設計があるのだそうです。発酵が終わると、15℃の部屋へ。今度は低温で発酵を止め、熟成させます。発酵と熟成で約2カ月かかります。
昭和38年中小企業近代化促進法ができました。日本の中小企業をもっと強くしようという法律で、製造業では業種別に各自の小さな工場はやめて、組合立の工場をつくり、それに国が融資をするという法律でした。大分県でもみそ、醬油で協業組合を作ろうとフンドーキン醬油の当時の社長力一郎が1軒1軒、説得してまわったと聞いています。そして27社が集まってできたのが大分醬油協業組合です。いまだに家族会で年に1回旅行に行ったりしているんですよ。工場では、それぞれの組合員の商品を作り分けていますから、多品種少量を生産する工場になっています。大分醬油協業組合の工場として建てられましたが今はフンドーキン醬油の製品を95%以上出荷しています。味噌工場も同様に大分みそ協業組合の工場です。